2017年 05月 24日
そんなのは数学ではありません。
何度か経験してきていますが、先日依頼を受けて、某私立高校の数学の授業を見学しました。
難関国公立大学受験の数学指導はどのようにすればよいか、そのアドバイスが欲しいとのご要望で、忌憚のない意見が有難いとのことでした。
どのレベルで授業を行い、どのレベルの問題をどの程度の量で演習させればよいのか、それを知りたいということで、長年塾講師をしているというだけで、ずいぶんと買いかぶられたものです。
実際の授業を見て、唖然としました。これはいかん、こんなことをしていたのでは生徒の数学力は上がらない、どのように評価すれば良いのか、忌憚のない意見を出せば気分を害されるだろうし・・・。
公式の紹介と解き方の紹介ショー。
多分、今現在の高校の90%以上がそうなのでしょうが、生徒に教科書に書いてある公式を紹介し、どんなにそれが重要であるかを強調し、ではきちんと覚えておきましょうで終わります。
次に代表的な練習問題を紹介し、公式に数値を当てはめてこうすれば答えを出せると繰り返します。後は練習量を増やすことで慣れの部分を作ろうとします。
それだけのことが終われば、次のテーマに移っていきます。数学そのものと言える部分の説明が何もありません。
ですから私立大学レベル、中堅国公立大学レベルであれば合格できるかもしれませんが、東大、京大、阪大、と言うようなことになれば、遥か彼方という話になってしまいます。
数学の授業で必要なこと。
各分野で登場する定義の意味、何故そのように定義するのか、そうすることによって何の役に立つのか、それは必ず語らなければいけません。
定義から派生する諸定理、これを公式と呼んでいるわけですが、それは必ず一つ一つ定義に基づいて証明しなければいけません。ここが数学です。
問題がありました。それに当てはまる公式はこれです。数値を当てはめてみましょう。ほら答えが出たでしょう。こんなのは数学ではありません。
何も考えることなく計算作業を行っているだけですから、どんなに数多く繰り返したところで思考力は高まりません。
今の学校の数学の授業では、経験したことのある問題しか解けなくなってしまいます。数学嫌いを大量生産する温床となっているようです。
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